三代会長を語る(上-2)

 前の ブログの続きで、〔三代会長の哲学の根底にある 「因果俱時」〕 の項目には、
 松岡  「創価学会は現世で解決を与えられる宗教である」 と……仏教はもともと、因果――原因と結果の関係性をとことん追求してきた宗教でした。
 ………
 松岡  牧口初代会長は、その点に仏教の魅力を感じたようです。原因と結果の探求によって人を苦しみから救おうとする点に、科学の研究にも通ずる合理性を見いだしたのです。しかも、科学は現世だけの原因・結果を追求しているのに対し、仏教は過去世と来世までも視野に入れて原因・結果を追求している。したがって、仏教は最も包括的な因果論であり、仏教の視座に立ってこそ科学などの因果論も正しく活かすことができる、というのが牧口会長の結論でした。  
 ……来世の救いを待たずとも、現世で苦しみを解決できる。「此岸性」 を創価学会が重んじている背景には、この 「因果俱時」 の教理があるのです。
  (第三文明・2015-10月・56P)

 「因果俱時」 とは、原因と結果が同時に生ずるということです。我われの生活感覚からいえば 「因があって果がある」 という、その上に、過去になした業因は変えることができないと思っています。
 このような見方に対して、佐藤氏が大学受講の時の挿話(そうわ)についてお話をしています。 

 佐藤  私は同志社大学で 「阿毘達磨」(仏教の注釈書)の講義を受けた時、そのなかに出てくる一つの挿話に強い印象を受けました。それは、“ある船が嵐で難破した際、一人だけ死なずに助かった。なぜ助かったかといえば、将来、悟りを開いて仏となる人だったからだ” という話です。つまり、未来において仏になるという 「結果」 が、現在において命を救われる 「原因」 となっているわけで、因果の時系列が逆転しているのです。それを教えてくれた教授は、「仏教における因果というものを、単純に時系列で考えてはいけないということだ」 と解釈してくれました。

 松岡  そうですね。因果俱時は、「因果は一体であり、時間を超越している」 ということでもあります。だから、因果の時系列が逆転していても矛盾ではないのです。そのような因果俱時の教理が、三代会長の哲学の根底にある。だからこそ、世界を単純に時系列でみることに慣れた世間の人からは、時に理解しにくい面もあるわけです。

 “因果一体であり” とは、「仏因」 自体が 「仏果」 であるということです。すなわち、南無妙法蓮華経が 「因」 でもあり、「果」 でもあるということになります。ここにおいては、因と果の間に時間の経過は有りませんので “時間を超越している” といっている訳です。
 御書に、「此の経を持ち奉る時を本因とす其の本因のまま成仏なりと云うを本果とは云うなり」(808P) と仰せです。
 したがって、「因果俱時不思議の一法」 の “南無妙法蓮華経” を唱え奉れば、過去世の業因さえも変えられ 「人間革命」 することができるのである。

 〔牧口会長の獄中闘争を支えた信念〕 という項目には、
 佐藤氏は、牧口初代会長の 「尋問(じんもん)調書」(不敬罪および治安維持法違反の容疑で逮捕され、獄中にあった時の特高警察による調書)をあらためて読み直したと言われています。

 佐藤  牧口会長について……獄中でも動じなかったその強さは、現世だけでなく過去世・来世までも見据える賢者であったがゆえなのだと、今回の対談であらためて感じました。
 たとえば 「尋問調書」 には、「憲法は現世に於ける処の日本国を統治する法でありまして……政体が変わって将来憲法も改正されたり廃止される様な事があるかも知れません。憲法は大法の垂迹であります。然るに法華経の法は宇宙根本の大法でありまして過去・現在・未来の三世を通じて絶対不変・万古不易の大法であります」 という一節があります。


 松岡  「国家を相対化する視点」 が見て取れますね。

 佐藤  ええ。“憲法は現世だけの、一国・一時代だけのものだが、自分はそれよりもはるかに包括的な、三世を貫く宇宙の不変の真理に従って生きているのだ” と、特高に向かって堂々と宣言しているわけです。すごいことだと思います。

 松岡  「憲法は大法の垂迹」 という言葉は、憲法を軽んじていたわけではなく、法華経の真理を根底に据えることによって憲法を活かしていけるという意味だと思います。

 佐藤  そうですね。安保法制をめぐる憲法論議のなかでも、公明党議員の皆さんには、ぜひ牧口初代会長のこの姿勢を範として頑張ってほしいと思います。

 戦時中の過酷な獄中にあって、牧口先生は “憲法は大法の垂迹であります” と自らの信念を堂々と披歴し、その信仰に殉じたお姿は学ぶべきであります。牧口先生は “現世だけでなく過去世・来世までも見据える賢者であった” と佐藤氏は語られています。
 政治や憲法という相対的な移ろい易きものに心を奪われることなく、絶対的な日蓮仏法の 「宇宙根源の一法」 を信じ奉り、それを生活の規範として行かねばならないと思います。 

テーマ : 創価学会
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

谷 建二郎

Author:谷 建二郎
 
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北九州市小倉北区に在住 81歳
日蓮仏法と創価思想に関する私の教学的随想

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