「新・人間革命」第5巻〔開道の章〕(対話)

 「新・人間革命」 第5巻は、1961年(昭和36年) の10月8日、ヨーロッパ指導に旅立たれた池田先生が、分断されたばかりの西ベルリンの壁の前に立った日の夜から始まっています。

 〔開道〕 
 地平線の彼方に、太陽は昇った。
 しかし、行く手には、多くに不信と憎悪の、荒涼たる精神の原野が広がっている。切り開くべき道は、遠く、長い。
 彼は、原野に足を踏み入れた。草を分け、茨を払いながら、一歩、一歩と、前へ進む。
 山本伸一の ヨーロッパ訪問は、平和の扉を開き、ヒューマニズムの種子を蒔(ま)く、開道の旅路であった。


 池田先生は、“現在の世界の悲劇も、結局、人間が引き起こしたものだ。ならば、人間が変えられぬはずはない” そして、「地球を一身に背負う思いで、人類の融合と平和への挑戦を開始したのである」 と、ご決意を述べられています。

 「先生は、ブランデンブルグ門の前で、この壁は三十年後にはなくなるだろうと言われましたが、そのための、何か具体的な対策があるのでしょうか」 と、同行のメンバーの一人が尋ねた。
 先生は、笑みを浮かべて答えられました。
 「特効薬のようなものはないよ、ただ、東西冷戦の氷の壁をとかすために、私がやろうとしているのは 『対話』 だよ。西側の首脳とも、東側の首脳とも、一人の人間として、真剣に語り合うことだ。どんな指導者であれ、また、強大な権力者であれ、人間は人間なんだよ。
 権力者だと思うから話がややこしくなる。みんな同じ人間じゃないか。そして、人間である限り、誰でも、必ず平和を願う心があるはずだ。その心に、語りかけ、呼び覚ましていくことだよ。
 東西両陣営が互いに敵視し合い、核軍拡競争を繰り広げているのはなぜか。
 一言でいえば、相互不信に陥っているからだ。これを相互理解に変えていく。そのためには、対話の道を開き、人と人とを結んでいくことが不可欠になる」


 池田先生は、ベルリンの壁の前で “この壁は三十年後にはなくなるだろう” と予言なされてから、29年目の、1989年11月に壁は崩壊しました。御書に 「外典に曰く未萠(みぼう)をしるを聖人という」(287P) とあります。ゆえに、先生は聖人であると思っています。
 先生は、一民間人の立場ながら、東西冷戦の一触即発の状況であった、米・中・ソの三国を相互に訪問され、相互不信に陥っているのを、相互理解に変えていくために、人格と対話の力によって友情を育み、三国間に友好と平和の道を開きました。
 これを契機として、その後は国家間の戦争の脅威は除かれましたが、今は地域や宗教紛争などによる テロの脅威にさらされています。
 テロの暴力に対して、武力で対処しても解決できません。相手を人間として認め、非暴力による 「対話」 のなかにしか、解決の道はないと思います。
 
 「また、もう一つ大切なことは、民衆と民衆の心を、どう繋ぐことができるかです。
 社会体制や国家といっても、それを支えているのは民衆だ。その民衆同士が、国家や体制の壁を超えて、理解と信頼を育んでいくならば、最も確かな平和の土壌がつくられる。
 それには、芸術や教育など、文化の交流が大事になる。その国や民族の音楽、舞踊などを知ることは、人間の心と心を近づけ、結び合っていくことになる。本来、文化には国境はない。これから、私は世界の各界の指導者とどんどん会って対話するとともに、文化交流を推進し、平和の道を開いていきます」


 国と国との付き合いといっても、結局、その民衆同士が、国家や体制の壁を超えて、理解と信頼を育んでいく以外にない分けです。
 先生は、“それには、芸術や教育など、文化の交流が大事になる” と仰っています。
 創価学会は、文化団体として “富士美術館・民主音楽協会・創価大学” などを創設して、文化交流を推進して、平和の道を切り開いてきました。
 これからも、ますます 「文化の拡大」 「対話の拡大」 に励んでまいります。

 〔勝利〕 の章に、冒頭の文言がありますのでご紹介します。
 仏法は勝負である。
 なれば、人生も勝負であり、広宣流布の道もまた、勝負である。
 人間の幸福とは、人生の勝者の栄冠ともいえる。そして、世界の平和は、人類の ヒューマニズムの凱歌にほかならない。
 その勝利とは、自己自身に勝つことから始まり、必死の一人から、大勝利の金波の怒涛は起こる。


 この勝利の章には、1961年(昭和36年)11月5日、国立競技場にて、第十回男子部総会(国士十万結集)が行われたことが書かれています。お読みくだされば幸いに存じます。

テーマ : 創価学会
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

谷 建二郎

Author:谷 建二郎
 
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北九州市小倉北区に在住 81歳
日蓮仏法と創価思想に関する私の教学的随想

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