公明党の「与党化」

 佐藤 優氏の “『公明党50年の歩み』 を読む” は、(最終回) 〔公明党 「与党化」 の意義を考える〕 であります。 (第三文明・2016-7月号)
 与党としての公明党は、1993年の細川連立政権参加によって始まり、1999年からは自民党との連立政権の樹立から本格化した。
 しかし、それ以前の野党時代にも、与党化に向けての地ならしとも言うべき局面があった。
 たとえば、1972年の日中国交正常化の際、中国と田中内閣の橋渡しをしたことは、その一つといえる。
 また、1994年の新進党への参加も、与党になるための トレーニングだったと考えられる。
 さらに、湾岸戦争での 100億ドル支援問題から PKO法成立までの経験は、野党ながら国の新しい生き方の決定に関わり、与党的な経験を積んだ。
 佐藤氏は、『50年史』 は、“「与党化」への軌跡を刻み付けた党史” とも言える、と述べられている。

 〔世界宗教の 「与党化」 は必然である〕
 佐藤氏は、“公明党の与党化は必然であり、何ら不思議なことでも意外なことでもない” と、それは、“「世界宗教と結びついた政党は与党であるのが当たり前」 であり、野党であるほうがむしろ不自然なのだ” と述べられている。
 歴史的に見ても、キリスト教は、313年 ローマ帝国から公認され 「与党化」 した。現代でも、ドイツの 「キリスト教民主同盟」 など、「世界宗教の与党化」 の例はたくさんある。
 “つまり、創価学会の本格的な世界宗教化と公明党の与党化は、コインの両面のように密接に リンクしているのだ” と述べられている。

 ではなぜ、世界宗教の 「与党化」 は必然なのだろうか 、との問いを設けて 答えられていますので、引用させていただきます。
 一つには、世界宗教というものが、「反体制的ではなく既存の社会 システムを認めたうえで “体制内改革” を進めていく」 という共通の特徴を持っているからである。
 創価学会もしかり。 「人間革命」 という キーワードが誤解を招きがちだが、創価学会に反体制的性質はまったくない。 「人間革命」 は体制転覆の革命ではなく “人々の心のなかからの革命” を指すのであり、創価学会はあくまで “体制内改革” を目指す教団なのである。
 各国の SGI 組織のありようを見ても、その国の国体(国の基礎的な政治の原則)に触れるような行為は決して行わず、既存の社会の システムにすんなり溶け込んでいる。
 そして、世界宗教が体制内改革を標榜するものである以上、その改革を進めるためにいちばん力を持った存在である与党と結びつくのは必然なのだ。
 現実への影響力という点で、野党と与党には天地の差がある。与党になってこそ、日本一国を大きく動かす力を得ることができるのだ。そのことは、野党時代の公明党と、与党となってからの公明とを比べるだけでも一目瞭然だろう。
  (同誌・53P) 

 人間の幸・不幸は、金があるとか・地位があるとかで決まるものではない。また、政治体制や経済機構の違いによって決まるものでもない。どんな社会体制の中にあっても、貧乏人もおれば・金持ちもおる。病人もおれば・健康体の人もおる。
 これらの違いは、どこから来たのであろうか? 社会体制や環境のせいでないのなら、所詮、個々人の生命境涯(宿業)の違いに帰するのである。
 そうであるならば、宿命転換すなわち、「人間革命」 する以外に “絶対的幸福境涯” になれる道はないのである。
 ゆえに、佐藤氏は「創価学会に反体制的性質はまったくない。…… あくまで “体制内改革” を目指す教団なのである」 と述べられている。

 〔与党だからこそ 持ち得た 「影響力」 の例〕 という項目のところでは、三点にわたって示している。
 第一に平和安全法制成立までの経緯において、公明党が果たした 「歯止め」 の役割である。
 この歯止めとは、閣議決定に盛り込まれた 「武力行使の新3要件」 のことである。この安全法制を 「戦争法」 と呼んで批判するものもおるが、むしろ、以前より戦争につながるような動きは封印された。
 佐藤氏は、“あえて言えば、公明党は単に 「歯止め」 をかけたにとどまらず、自衛隊をめぐる 「構造」 そのものを変化させたのだ” と述べられている。

 第二に、昨年(2015年) 8月14日に発表された、安倍晋三首相の 「戦後七〇年談話」 である。
 あの談話の最大のポイントは、「満州事変以後の日本の歩みは誤っていた」 との歴史認識の表明である。
 誤った時期を明確に特定した点で、前の村山談話よりも、むしろ安倍談話のほうが踏み込んだ内容になっている。これは、首相が連立 パートナーの公明党に配慮したからにほかならない。
 “公明党が与党であることによって持ち得た影響力の、実例の一つと言える” と述べられている。

 第三に“軽減税率導入決定までの経緯である。結果的には、公明党の主張をほぼ丸のみにする形で、自民党も軽減税率導入に同意した。これも、公明党が与党であるからこそだろう” と述べられている。

 このように、“安全保障・歴史認識・財政” という三つの分野において、公明党が自民党に大きな影響力を及ぼしてきたのである。 「与党化」 とは、現実の政治において、これほどの力を持つということなのである。

 〔すべての人々を守る 「人間主義」 を掲げて〕
 佐藤氏は、「公明党は結党以来、その姿勢にまったく ブレがない」 ということである、と述べられている。 

 公明党は常に 「大衆にとっての最善」 を考えて行動してきたのであり、その一点においてまったく ブレがないのだ。
 公明党は、「国民」 よりも 「大衆」 という言葉に重きを置いてきた。なぜ、「国民」 ではなく 「大衆」 なのかといえば、「国民」 は 「日本国籍を有する者」 という意味になり、「日本国籍を持たずに日本に住んでいる人」 ――在日外国人や無国籍者を排除する ニュアンスを孕(はら)むからだろう。
 ………
 それでも基本的には、政治の主体は 「その国に住むすべての人」 なのである。
 同様に、「生活者」 という言葉を最初に全面に出した政党も、公明党だ。
 国民ではなく、「大衆」 「生活者」 ――公明党の用いる ワーディング(言い回し)には、国籍にかかわらず、そこに住むすべての人々を守っていこうとする姿勢が感じられる。
 一部の人ではなく、すべての人のための政治。日本一国のみならず、世界のための政治。そのような 「人間主義」、世界市民的な視野を持った政治を、公明党は半世紀余にわたって貫いてきたのだ。
  (同誌・57P)

 佐藤氏は、公明党は “「大衆」 「生活者」 という言葉を最初に全面に出した政党だ” と、そして “すべての人のための政治、そのような 「人間主義」、世界市民的な視野を持った政治を、公明党は半世紀余にわたって貫いてきたのだ” と、じつに正しい 的を射た評価をしてくださっています。

テーマ : 創価学会
ジャンル : 学問・文化・芸術

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谷 建二郎

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北九州市小倉北区に在住 81歳
日蓮仏法と創価思想に関する私の教学的随想

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