希望の源泉(3)(「危機の時代」を予見する)

 佐藤 優氏の 「希望源泉」 (池田思想を読み解く) の第 3回は、今の 「危機の時代」 を予見していた 『法華経の智慧』 です。  (第三文明・2016/10月号・53P))

 仏法の智慧を現実社会へと展開
 佐藤 勝  『法華経の智慧』 は、常に現実社会との関わりのなかから法華経を捉えようとしていますね。 「序論」 だけでも、ボスニア紛争、ソ連崩壊後のロシア社会の混乱、生命科学の最先端などの問題が俎上(そじょう)に載ります。 そして、そのような連載当時の アクチュアル(現実的)な問題に対する言及が、約 20年後の現在も古びておらず、21世紀の社会についても深く考えさせるものとなっている。 そこが、この本の大きな特徴です。
 ………
 佐藤  そして、法華経を政治や経済など、社会の問題と結びつけて語れるからこそ、池田思想は 「生きた思想」 なのだと思います。 宗教者が宗教という枠のなかに閉じこもり、「社会問題についてはよくわかりません」 と社会から目を背けるようでは、それは 「死んだ思想」 なのです。
 池田会長自身が次のように述べています。

 「現実の社会を離れて仏法はありません。 仏法即社会です。 社会即仏法です。(中略)仏法の心、仏法の智慧を、つねに社会へ、世界へと ダイナミックに展開していく。 それでこそ真実の仏法です。 宗教の世界に閉じこもるのは宗教の自殺行為です」 (法華経の智慧 1巻・133P)

 この 「序論」 の冒頭のところで、池田先生は、次のように述べられています。
 自分が、また社会が 「どこへ」 「何のために」 進めばよいのか。 それを教えてくれる智慧を求めている。
  あるいは、戦乱の旧 ユーゴ諸国で。
  あるいは、飽食の先進国の社会で。
  あるいは、混乱の旧・社会主義国で。
  あるいは、貧困と戦う第三世界で。
 ………
 何かが間違っている。 何かが必要だ。 科学でも幸福はない。 社会主義でも資本主義でも救われない。 どんなに会議を開いても、道徳を訴えても、心理学を講じ、哲学を講じても、何かが欠けている。
 今、人類の心の情景は、このようなものではないでしょうか。
 と問題提起をなされています。
 この問題の解決への道は、一人の人間の 「生命の変革」 が一切を変えていくという、“法華経の智慧” に求めなければならないと思います。

 「法華経の智慧」 を今読むべき理由
 佐藤  なぜ、私のような学会員ではない人間が、『法華経の智慧』 という書物を今読むべきなのか? 
 その問いに対する一つの答えは、「今世界にとって大きな危機の時代・大変革期であり、その危機の時代を生きるための智慧が、ちりばめられた本だから」 ということです。
 ………
 『法華経の智慧』 は、約 20年前に作られた本ではありますが、現在のような 「危機の時代」 にこそ光彩を放つ書物だと思います。 そしてそれは、創価学会自体が 「危機に強い宗教」 であることの反映なのでしょう。 もちろん、学会は平時においてもきちんとした活動をしてきました。 そのうえで、平時よりは危機の時代にこそ、その真価を発揮する教団だと思うのです。
 

 なぜ、「危機に強い宗教」 なのかといえば、「難」 の捉え方に一つの要因があると述べています。
 司会者は、「きちんと信心をしていけば、それを妨げる難が起きるのは仏法上の必然であり、その難を乗り越えてこそ成長できるし、宿命も転換できる」 というのが学会の指導性です と言われています。
 佐藤氏は、苦難や危機を避けるのではなく、むしろ喜んで迎え撃つ、よい意味での 「戦闘性」 が学会にはある。だからこそ危機に強い。SGI が各国の社会に受け入れられているのは、一つにはそのためでしょう と、称賛と期待感を述べられている。

 「危機の時代」 のための思想
 佐藤  『法華経の智慧』 が連載された 1990年代後半は,今とは違って、「世界が危機の時代に突入した」 などという認識はなかったと思います。 局地的な紛争は当然あったにせよ、「第三次世界大戦の危機が間近に迫っている」 などと考える人はほとんどいなかったはずです。……
 要するに 90年代後半は 「もう戦争は起きない」 という楽観が世界を覆(おお)っていた。 「21世紀は危機の時代になる」 などとは、ほとんど誰も思っていなかったのです。……
 たとえば、「序論」 における ボスニア紛争への言及は、現在の シリアで当時の ボスニアとよく似た状況が現出していることを予見していたとも言えます。……
 しかし、99年に 『法華経の智慧』 の連載が終わったあと、世界は急激に 「危機の時代」 へと向かいます。 2001年の 「9・11」 同時多発テロと、03年からの 「イラク戦争」 が、その暗い幕開けでした。 そこから十数年がたった今、世界は明日さえも見えないような、混沌とした 「危機の時代」 のただ中にあります。…… 約 20年前に現今の 「危機の時代」 を予見していた点に、鋭い先見性があるのです。
 そのことを、あえてキリスト教の語彙(ごい)を用いて 「預言者的」 と評したい気がします。…… 池田会長の未来を見通す慧眼(けいがん)は、私には 「預言者のようだ」 と感じられるのです。


 ――  日蓮にも、『顕仏未来記』 のような 「未来記」、すなわち “予言の書” のような著作があります。 といっても、それは オカルト的な予言ではなく、仏ならではの 「三世(過去世・現世・来世)を見通す」 慧眼で世界が進みゆく方向を考えたとき、おのずと浮かび上がってくる ビジョンなのでしょう。

 佐藤  ええ、池田会長の場合も同じだと思います。 仏法を究(きわ)めた人ならではの鋭敏な認識力・直観力によって、未来を見通すのでしょう。……

 日蓮大聖人は、「三世を知るを聖人という余に三度のかうみよう(高名)あり」(287P) と仰せです。
 三度の高名とは、一には文応元年七月十六日・立正安国論をもって、二には文永八年九月十二日・平左衛門尉に向かって、三には文永十一年四月八日・佐渡赦免後、平左衛門尉に語って云く と。以上三回にわたって、国家諌暁を行い、自界叛逆(ほんぎゃく)難、他国侵逼(しんぴつ)難の二難が起こると警告され、それがことごとく 的中したことを言う。
 また、『顕仏未来記』 には、「本門の本尊・妙法蓮華経の五字を以て閻浮堤に広宣流布せしめんか」(507P) と仰せです。
 現在、池田先生のご指導のもと、大聖人の御予言のごとく、世界 192ヵ国にまで、創価の世界広宣流布は拡大しております。世界広布の業績を考えても、現今の 「危機の時代」 を見通す慧眼に対しても、池田先生は聖人の一分にあたられると思います。

 ――  『法華経の智慧』 も、現在の世界を見通した 「予見の書」 として読むことができるのですね。

 佐藤  そうです。 人類が 「危機の時代」 を乗り越える方途が、深い次元から考察された書だと思います。  

テーマ : 創価学会
ジャンル : 学問・文化・芸術

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No title

「苦難や危機を避けるのではなく、むしろ喜んで迎え撃つ、よい意味での 「戦闘性」 が学会にはある。」

学会員として うれしい言葉ですね

Re: No title

 コメント頂き有り難うございます。

 佐藤氏は、敬虔なクリスチャンでありますが、むしろ我々より、池田先生・創価思想については造詣が深いのではないかと思います。
 まさに、法華経の証明役たる多宝如来・諸天善神等の役割を果たされていると思います。
 これからも、佐藤氏の学説を楽しみにしているとともに、ご活躍を願うものであります。
 ちよ様も、お体に気を付けて頑張ってください。
プロフィール

谷 建二郎

Author:谷 建二郎
 
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北九州市小倉北区に在住 81歳
日蓮仏法と創価思想に関する私の教学的随想

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