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「希望の源泉」(24)(人工知能について)

 「希望源泉」 (池田思想を読み解く) の第24回は、人間軽視の時代への 「防波堤」 となる思想 であります。今回も 「見宝塔品」 の続きです。  (第三文明・2018/7月・53P)

 法華経は妥協を排した 「随自意」 の教典
 「随自意(ずいじい)」 とは、「自らの意に随う」 と読む。 衆生の機根にかかわらず、仏の内面の悟りをそのまま説き示すことをいう。
 その反対が 「随他意(ずいたい)」 で、仏が真実の法門に誘引するため、衆生の機根や好みに随って説く方便の教えを指します。 法華経以外の爾前経は 「随他意」 の経である。
 法華経は仏の内面の悟りを ストレートに説いているから、衆生にとっては 「難信難解」 であり、したがって弘通することの難しさを、池田先生は次のように述べられています。
 「結論から言えば、法華経を弘通することは 『元品の無明』 との戦いであり、それゆえに何よりも 『難しい』 のです。 また、それは 『第六天の魔王』 との戦いであるゆえに、『難』 が起きるのです」 (法華経の智慧3巻・60P)

 この 「見宝塔品」 の章にも、「なぜ法華経を弘めれば難が起こるのか」 という疑問に対する答えとして、次のような一節があります。
 “まず法華経が 「折伏の経」 であり、「随自意の経」 あることがあげられます。 「仏の心」 そのままを、相手に妥協せず、まっすぐに主張する。 その意味では、反発が起こるのは当然だと思います” (同書3巻・67P) と語られている。

 佐藤 優  釈尊が 「宝塔」 を開く前に三度にわたって娑婆世界を浄化したという 「三変土田」 について、池田会長も次のように言われています。
 「言葉で言ってしまうと、静的のように思われるけど、そこには一人一人の現実との格闘があるわけだから、三変土田は極めて ダイナミックな原理です。
 『娑婆世界を浄化した』 とあるように、どこか別の世界に浄土があるのではない。 あくまでも 『娑婆即寂光』 なのです」
 (同書3巻・59P)
 現実世界を変革するための教えが法華経であり、だからこそ 妥協 がないんでしょう、 と語られている。

 仏法にみる ÅⅠ 時代を生きる智慧
 佐藤  「無明惑」 について、池田会長が次のように発言されていることに、私は強い印象を受けました。
 「無明惑 とは、文字通り、自分の生命に暗いということです。 それが迷いの根本です。 自分の生命に暗いということは、他人の生命にも暗いということになる。
 分かりやすく言えば、あらゆる人間、あらゆる生命を、尊厳なる 『宝塔』 として見る。 その 『開かれた心』 が法性です。 それができない 『閉じた心』 が無明です」
 (同書3巻・59P)
 私はこのような視点が、これからの ÅⅠ(人工知能)時代にはいっそう重みを増してくると考えています。 今後、ÅⅠが幅を利かせれば聞かせるほど、人間軽視、生命軽視の傾向が強まっていくでしょう。 「生命こそ宝塔」 と捉える日蓮仏法、ひいては創価学会は、そうした傾向への 防波堤 になり得るのです。

 佐藤氏は、当連載の第21回(本年4月号)で、“ÅⅠ(人工知能)の 「機械論的生命観」 と、今後、創価学会は対決していかないといけない” 指摘されていました。
 将棋対局の話題で、ここのところ プロ棋士が コンピューター将棋ソフトに勝つことはできなくなってきています。 このような状況を見て、“ÅⅠが進歩を続けた果てに人間を凌駕(りょうが)し、人類を支配するようになる」 と考える一部の学者・研究者たちがいるそうである。 
 そこには “人間も精巧な機械の一種にすぎない” という 「人間機械論」 「機械的生命観」 の萌芽がある。 これを見過せば、人間生命よりÅⅠの方が優れていると見る 生命軽視 の由々しき事態となるであろう。 
 したがって、ÅⅠのことは喫緊の問題として、他人ごとではなく 自身のこととして、問題意識をもって学んでいかねばならないと思います。 私はÅⅠのことは、よく分かりませんので、後は少し長くなりますが、佐藤氏のお話を引用させていただきます。

 佐藤  ÅⅠについて、新井紀子さん(国立情報学研究所社会共有知研究センター長・教授)は近著 『ÅⅠvs.教科書が読めない子どもたち』 (東洋経済新報社)のなかで、次のように書いています。
 「論理、確率、統計。 これがが 4000年以上の数学の歴史で発見された数学の言葉のすべてです。 そして、それが、科学が使える言葉のすべてです。 次世代スパコンや量子コンピューターが開発されようとも、非ノイマン型と言おうとも、コンピューターが使えるのは、この三つの言葉だけです。(中略) では、私たちの知能の営みは、すべて論理と確率、統計に置き換えることができるでしょうか。 残念ですが、そうはならないでしょう」

 要するに、ÅⅠのできることは論理、確率、統計の枠内に限られるのであって、どこまでいっても、人間の知能の営みの奥深さには到底太刀打ちできないのです。
 新井さんは同書で、そのことの面白い例を挙げています。 i Phone や i pad に内蔵された 「siri」 (音声認識による 「ÅⅠアシスタント」) に、「この近くのおいしい イタリア料理店は?」 と尋ねたあと、「この近くのまずい イタリア料理店は?」 と尋ねると、検索結果として同じ店が並ぶというのです(笑)。 なぜかというと、「まずい イタリア料理店」 を検索して探す人は普通いないので、ÅⅠ は 「まずい」 を ノイズとして弾(はじ)いてしまうのです。 その程度のことを 「考える」 ことすらできないのが、ÅⅠなのです。

 では、私たち人間の 「考える」 という営みはどのような プロセスかというと、実はまだ解明されていません。 いまだ ブラックボックスの中なのです。 もちろん、ここでいう 「思考」 とは、ÅⅠに置き換え可能な論理、確率、統計の枠に収まらない思考…… 『法華経の智慧』 の 「智慧」 に当たる部分です。
 われわれ人間は、新幹線より速く走ることはできないし、暗算の速さでは100円ショップに売っている安い計算機にさえかないません。 だからといって、「人間は新幹線や計算機に劣っている」 などとは誰も考えないでしょう。 ところが、ÅⅠに関してだけは、その本質は計算機にすぎないにもかかわらず、「やがて人間の知能を凌駕する」 とか、「人間はÅⅠに支配される」 などという突拍子(とっぴょうし)もない主張が、まことしやかになされているのです。 これはもう、ÅⅠに対して過度の幻想を抱く、“ÅⅠ教” ともいうべき妄想です。
 この “ÅⅠ教” が問題なのは、ÅⅠに過度の期待を抱けば抱くほど、人間の軽視につながっていまうからです。 今後、人間の仕事のうち、あらゆる単純作業はどんどんÅⅠに置き換えられていくでしょう。 しかしそれは、「その分だけ人間の価値が目減りしていく」 ということではないはずです。 そのことを良くわきまえておかないと、人間の尊厳、生命の尊厳が、ÅⅠによって軽んじられ、貶(おとし)められていくことになりかねません。 それはまさしく、「あらゆる人間、あらゆる生命を、尊厳なる 『宝塔』 として見る」 ことができない、「無明」 という 「閉じた心」 に囚(とら)われた姿なのです。

 だからこそ、「生命こそ宝塔」 と捉える 法華経・日蓮仏法の視座が、今後ますます重要になっていくのです。 そのなかにこそ、ÅⅠ時代を懸命に生きるための智慧があります。
 なぜ生命がそれほど尊いのかと突きつめて考えていくと、最後は トートロジー(同義語反復)にならざるを得ないかもしれません。 「生命は尊い。 なぜなら生命だからだ」 と……。 それは、法華経の生命尊厳の思想は、西洋哲学的な論理の積み重ねから生まれてきたものではないからです。
 『法華経の智慧』 という書物を読むと、どの章からも 「生命の尊厳」 ということが行間から伝わってきます。 このような絶対的生命尊厳の思想こそ、これからの世界に必要なのです。

テーマ : 法華経の智慧
ジャンル : 学問・文化・芸術

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No title

お久しぶりです。
「ハードウェアに頼って、戦争に勝った試しなんてない。」この言葉は銀河英雄伝説というアニメで主役のヤンウェンリーが語るセリフですが、AIに限らず、現代ではネット、スマホ、便利ですけど使い方を誤り犯罪に利用されるケースが多々あります。ハードウェア盲信というある種の宗教思想まであるように思います。銀河英雄伝説は、衆愚政治に堕ちた民主国がカリスマ君主率いる専制帝国に敗れるという物語ですが、敗因の一つとして要塞や防衛システムというハードウェアに依存しすぎて滅びました。

Re: No title

 お便りありがとうございます。 遅くなってすみません。

> 「ハードウェアに頼って、戦争に勝った試しなんてない。」この言葉は銀河英雄伝説というアニメで主役のヤンウェンリーが   語るセリフです。 

 まったくその通りだと思います。
 大日本帝国は、軍事力というハードパワーを過信し、あげくの果てが敗戦であった。
 アニメは一切読んでいませんので、知りませんでした。
 教えてくださって、ありがとうございます。
プロフィール

谷 建二郎

Author:谷 建二郎
 
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北九州市小倉北区に在住 82歳
日蓮仏法と創価思想に関する私の教学的随想

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