本門の戒壇 (3)

 前回、「戒壇」 とは、その教法を実践し、具体化されたものではないだろうか、と述べてみました。
 わが国の戒壇建立は、天平年間(754年) 鑑真によって奈良の東大寺に、(761年)に栃木の薬師寺と福岡の観世音寺の三ヵ所に建立された。いずれも小乗戒である。
 その後、平安の初め伝教大師が出現し、法華迹門の戒壇を建立しました。ここで題名の 「本門の戒壇」 から少し外れますが、伝教大師の戒壇建立について概略を述べてみたいと思います。

 伝教大師は、鑑真がもたらした天台の三大章疏を研鑚し、法華経が最第一であることを覚った。法華最勝を主張する伝教は、南都六宗の碩徳と公場対決することになる。

 「延暦二十一年正月十九日高雄山に桓武皇帝行幸(みゆき) なりて六宗・七大寺の碩徳たる善議・勝猷・奉基・寵忍・賢玉・安福・勤操・修円・慈誥・玄耀・歳光・道証・光証・観敏等の十有余人、最澄法師と召し合せられて宗論ありし」(271P) と。
 で、その対決の結果は、「最澄上人は六宗の人人の所立・一一に牒を取りて本経・本論・並に諸経・諸論に指し合わせてせめしかば一言も答えず口をして鼻のごとくになりぬ、天皇をどろき給いて委細に御たづねありて重ねて勅宣を下して十四人をせめ給いしかば承伏の謝表を奉りたり」(303P) とあります様に、南都六宗は伝教の天台法華宗に帰伏したのである。

 しかし、受戒の儀式は、いまだ南都の小乗戒で行われていたので、伝教大師は 『顕戒論』 を著して大乗戒を主張したが、「大乗・小乗の二類の法師出現せば修羅と帝釈と項羽と高祖と一国に並べるなるべしと、諸人手をたたき舌をふるふ、在世には仏と提婆が二の戒壇ありて・そこばくの人人・死にき、されば他宗には・そむくべし我が師天台大師の立て給はざる円頓の戒壇を立つべしという不思議さよ・あらおそろしおそろしとのの(罵)しりあえりき」(328P) という状況で、南都の諸師の大反対にあった。

 伝教大師は何度も上奏したが、 朝廷は仏教界のただならぬ様子を察知してか、なかなか円頓の大乗別授戒を許可しなかった。ついに弘仁十三年(822年) 六月四日、伝教は入寂したが、その七日後に戒壇建立の勅許が出て、翌年(823年) に義真の手によって、比叡山延暦寺に法華一乗の円頓戒壇が建てられ、この年の四月に初めての大乗の授戒が行われた。

 伝教大師の御一生は円頓戒壇建立の戦いであり、像法の平安時代においてすら、戒壇建立は、これほどの論争を巻き起こし紆余曲折の結果、ようやく出来たのである。

 大聖人は 『撰時抄』 において、「法華経の円頓の別受戒を叡山に建立せしかば延暦円頓の別受戒は日本第一たるのみならず仏の滅後一千八百余年が間身毒(けんどく)尸那(しな)一閻浮提にいまだなかりし霊山の大戒日本国に始まる、されば伝教大師は其の功を論ずれば竜樹天親にもこえ天台・妙楽にも勝れてをはします聖人なり」(264P) と述べられています。

 また 『報恩抄』 には、「されば内証は同じけれども法の流布は迦葉・阿難よりも馬鳴・竜樹等はすぐれ馬鳴等よりも天台はすぐれ天台よりも伝教は超えさせ給いたり」(328P) と仰せであり、先師・天台大師よりも、後身の伝教大師の方が勝れておるということは、「一念三千の理」 よりも、法の流布すなわち 「戒壇建立」 という事の方が、どれほど勝れた業績であるかを物語っています。

 大聖人は 『撰時抄』に、 、「天台大師の未弘(みぐ)の円頓大戒を叡山に建立し給う此れ豈(あに)像法の末に法華経広宣流布するにあらずや、答えて云く…… 又天台智者大師の弘通し給はざる円頓の大戒を伝教大師の建立せさせ給う事又顕然なり」(272P) と仰せになり、ここに 「法華迹門の広宣流布」 は成し遂げられ、これが基盤となって約一世紀の間、輝かしい文化の華が開き、平和な平安朝時代が出現しました。 

 しかし、この叡山の戒壇は、大聖人の文底独一の 「本門の戒壇」 に比すればなお迹門に過ぎず、「叡山の円頓戒は又慈覚の謗法に曲げられぬ彼の円頓戒も迹門の大戒なれば今の時の機にあらず旁(かたがた)叶うべき事にはあらず」(363P) と仰せのように、慈覚の謗法に曲げられており、しかも迹門の理戒であるから、末法では時に叶わず無益なのである。

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